ワタシノオト

つれづれなるままに。

『ひとりでカラカサさしてゆく』(江國香織)

江國香織さんは、私が唯一新刊で購入し続けている作家さん。

初めて読んだのは、たまたま本屋で目についた『きらきらひかる』の文庫だった。

さまざまな情景の表現方法や言葉の選び方、作品の空気感や登場人物がかもしだす雰囲気が好き。この独特な感性に惹かれてファンになる人も多いかもしれない。でも実は、ストーリーに関してはピンとこない作品もある(単に私が恋愛ものにあまり惹かれないからかもしれない)。

でも今回読んだこの作品は、いつも通り作品の世界観を堪能しただけではなく、ストーリーにも没頭した。

ほしいものも、会いたい人も、ここにはもうなんにもないの――。
晦日の夜、ホテルに集まった八十歳過ぎの三人の男女。彼らは酒を飲んで共に過ごした過去を懐かしみ、そして一緒に命を絶った。三人にいったい何があったのか――。

妻でも、子どもでも、親友でも、理解できないことはある。唐突な死をきっかけに絡み合う、残された者たちの日常。人生におけるいくつもの喪失、いくつもの終焉を描き、胸に沁みる長篇小説。

Amazonの商品ページより)

80歳過ぎの3人は、私から見れば親世代。本来なら、彼らの50代の子供たちの方に感情移入するものなのかもしれない。でも、どうしても3人の気持ちを考えてしまう。特に知佐子さん。ほかの2人には死を選ぶ納得できる(というと語弊があるけれど)理由がある一方で、彼女にはまったく見当たらない。無理やり考えれば、ほかの2人に置いて行かれるのがいやだったから?

江國さんが描写する料理や食べ物も好き。今回なら、バーの特製ミートパイとか、エルダーフラワーのシロップが入ったソーダとか。

もうひとつ、彼女の書くものに惹かれるのは、ちょうど自分の少し先を行く年齢差にもあるのかもしれない。同年代でも、ものすごく年上でもなく、もう少ししたら自分もそこに行くのだなと思っている世界を垣間見れるような。

(まだまだ先だろうけれど)次の新刊が楽しみ。

ひとりでカラカサさしてゆく